はじめに
NotebookLMの実力は凄まじいものがあります。
資料1つをインプットするだけで、その内容について、音声概要を生成してくれます。
単純に文字起こしをするのではなく、資料の文脈や行間を理解して、ポッドキャスト形式で、2人の話者が掛け合いをしながら、資料の内容を説明してくれます。
音声での学習という観点においても、1人の話者が淡々と説明をしているよりも、2人の話者が掛け合いをする様子を聴いている方が内容が頭に入ってきます。ニュース番組のキャスターとゲスト、キャスターとアナウンサーのような関係性の会話が、いかに理解しやすいものであるかを改めて感じます。
NotebookLMの活用例
例えば、以下のようなファイルがあったとします。
このファイルは、2025年5月14日に発表した、
生成AIの活用をより簡便にする“直感操作の業務支援アプリ”「Ctrl+Cat」の提供を開始
「Ctrl+Cat(コントロールキャット)」というサービスのパンフレット画像です。
このファイルをNotebookLMにアップロードし「音声概要」機能で音声を生成すると、数分で、パンフレットの内容を説明した音声ファイル(wavファイル)が生成されます。
この音声ファイルをさらにアップロードし、チャットで文字起こしを依頼します。
そうすると、以下のような会話内容であることがわかります。
(話者1)AIってなんか難しそうだな。もっと気軽に使えないかなって感じたことありませんか? えっと今回 はですね、まさにそんなあなたのためのツールかもしれないコントロールキャットっていう、業務支援AIアプリに関する資料をちょっと深掘りしてみようかなと。
(話者2)はい
(話者1)このツールの、ま、面白いところの、普段パソコンでやる、あの、コピー & ペースト とかスクリーンショット
(話者2)ええ
(話者1)そういう何気ない操作だけでAIの力を、こう、引き出せるっていう点なんですよね。
(話者2)うん。うん。
(話者1)資料を見ると AI は難しそうとかもっと手軽に使いたいって感じてる人たちのために、こう AI 利用のハードルをグッと下げようとしてるのが伝わってきますよね。
(話者2)ええ、これは非常に興味深い試みだと思いますね。あのコピー& ペーストみたいな、ま、誰もが使え慣れた操作をですね、 AI と対話するためのインタフェースとして使ってしまうと
(話者1)なるほど。
(話者2)特別な知識とかがなくても AI を使えるようにするっていう、ま、そういう発想ですよね。技術的な壁を取り払ってより多くの人に AI の恩恵をっていう。
(話者1) まず基本からいきましょうか。コントロールキャット。これ具体的にはどんなものなんですかね?
(話者2)はい。
(話者1)資料には PC での日常操作だけで AI 機能を利用できる業務支援アプリと、こうありますけど、
(話者2)ええ、その日常操作だけっていうのがまさに鍵ですね。例えば気になる文章をコピーしますよね。
(話者1)はい。
(話者2)で、特定のショートカットキーを押すと、そうするとコントロールキャットが、ま、立ち上がってきて、そのテキストに対してですね、要約してとか、もっと詳しく説明してとか、重要な点を分析して、みたいな指示をあの専用のボタンをクリックするだけで AI に依頼できるんです。
(話者1)へえ。
(話者2)そうなんです。だからプロンプト、つまり AI へのあの複雑な命令文を自分で考える必要がない。
(話者1)ああ、それは楽ですね。
(話者2)ええ、作業の流れをこう中断せずに直感的に AI の助けを借りられる。そこを目指してるんですね。
(話者1)なるほど。スムーズそうですね。で、このツールの、あの特にユニークだなって思うのが、タスク特化の AI 猫たちっていうコンセプト。
(話者2)ああ、猫のやつですね。
(話者1)そうそう。資料によるとなんか要約が得意な猫とか、説明がうまい猫、分析に強い猫みたいに業務とに専門のAI猫がいて、
(話者2) え、
(話者1)で、依頼するたびに経験値が溜まってレベルアップするってなんか育成ゲームみたいでちょっとワクワクしますよね。
(話者2)まさにそこが狙いなんでしょうね。使えるだけじゃなくて使いたくなる UX つまりユーザー体験。これを重視してる点だと思います。
(話者1)ユーザー体験ですか?
(話者2)はい。単に機能を提供するだけじゃなくて、そのゲームミフィケーションの要素、ゲームみたいな楽しさを取り入れることで AI への心理的な抵抗感みたいなものをこう減らそうとしてる。
(話者1)なるほど。
(話者2)ボタンクリックで簡単に依頼できて、で、使えば使うほど AI 猫がユーザーの意図を学習して、ま、賢くなっていくと
(話者1)うん。
(話者2)この自分だけの相棒が成長していくみたいな感覚が継続的な利用を後押しするわけですよ。これは多くのツールが直面するあの AI 不安っていうか、難しそう、使いこなせないかもっていう不安感を乗り越えるための結構、匠なアプローチだなと思います。
(話者1)AI と仲良くなれるっていうのは面白い視点ですよね。でもその業務ツールとして考えた場合、その遊びの要素がなんか帰って邪魔になったりとか、プロっぽい場面で使いにくいかなんて思ったりもするんですが、その辺はどうなんでしょう?
(話者2) ああ、それはあの重要な視点ですね。確かにバランスは必要だと思います。ただこの AI 猫っていうのはあくまでインタフェースのデザイン見た目の部分であって、その裏では、あの しっかりとした AI 技術、例えば複数の LM 大規模言語モデルですね。これと連携して動いてるわけです。
(話者1)なるほど。裏はしっかりしてると。
(話者2)ええ、だから、ま、遊び心のある見た目と実用的な機能性っていうのを両立させようとしてるんじゃないかなと。さらにテキストだけじゃなくて、あの、スクリーンショットで囲んだ画像の内容を解析することも、ま、可能になるみたいなので、応用範囲は結構広そうですよね。
(話者1)画像もいけるんですね。そしてその相棒をこう自分好みにカスタマイズできる っていうのも魅力ですよね。
(話者2)そうなんです。
(話者1)資料にはこんな情報に詳しい猫が欲しい、みたいに普通の言葉で入力するだけで、オリジナルの AI 猫を作るためのあのプロンプト作成分作りをアシストしてくれる機能もあるって。
(話者2)ええ、そこがまたあなた専用の相棒体験を深める要素になってますね。単一の機能を提供するんじゃなくて、例えば営業部門向けに顧客情報の分析が得意な猫とか、開発部門向けに行動の説明が上手な猫とか、そういう風に利用 の具体的な業務内容とか部署のニーズに合わせて AI を最適化できる。
(話者1) へえ。
(話者2)これによってよりパーソナルでなんていうか手放せないツールになっていく可能性はあると思いますね。
(話者1)なるほど。ちなみに導入についてなんですけど資料を見ると初期費用とあとは使った分だけかかる LLM の利用量に基づいた運用費用が必要みたいですね。
(話者2)ええ、
(話者1)個人が気軽にっていうよりはやっぱりチームとか会社とか組織での導入を主に考えてる感じですかね。
(話者2)そのようですね。 ま、組織で導入することでチーム全体の作業効率を上げたり、あるいは AI の活用のノウハウを共有したりとかそういうメリットを見込んでるんでしょうね。
(話者1)というわけで今回はえっと日常操作とゲームミフィケーションで AI をもっと身近にっていうコントロールキャットを深掘りしてきました。
(話者2)はい。
(話者1)いや、コピー&ペーストっていう、あまりにも当たり前の操作を AI の入り口にするっていう発想とか、あと AI 猫っていう遊び心とか、
(話者2)ええ、
(話者1)複雑な技術をいかにこうユーザーに寄り添う形 で見せるかっていうなんか工夫が詰まってましたね。
(話者2)本当にそうですね。使い慣れた操作をフックにすることとあと成長する相棒みたいな感覚を提供することで AI っていう、ま、ある種未知のテクノロジーに対する心理的な壁をすごく琢間に取り払おうとしてるなと。
(話者1) うん。
(話者2)技術そのものだけじゃなくて人間がどう技術と向き合うかっていうその点に焦点を当てたアプローチだなと感じました。
(話者1)では最後にあなたにもちょっと考えてみて欲しい問いかけです。今回見たような日常操作への AI 機能の統合あるいはゲーミケーションによる親しみやすさの演出、こういうアプローチって、これから登場するであろう、さらに複雑なテクノロジーを私たちが抵抗なく受け入れて、そして使いこなしていく上でどれほど重要な役割を果たすようになると思いますか?
いかがでしょうか? NotebookLMの実力、凄いですよね。
単に資料に記載されている機能の説明をするのではなく、ページを前後しながら、本質的な意味を理解したり、この資料を使って説明する際に、きっとこんなメッセージを伝えたいんだろう、といった点を汲み取った音声になっています。
NotebookLMの活用方法(まとめ)
NotebookLMのこの画期的な機能は、「知識の深堀り」と「コミュニケーションの変革」を社内にもたらす可能性があると思います。単なる文字起こし(Speech To Text)、Text To Speech といった情報変換・伝達ツールを超えた、組織全体の知の創造と共有を加速させる力を秘めていると感じます。
NotebookLMの社内業務での応用
NotebookLMの、資料の隠れた意味合いや発表時のメッセージまで汲み取り、ポジティブなポッドキャストを生成する機能を社内で活用することで、以下のような応用が考えられます。
1. オンボーディング・研修の劇的改善
応用:
新入社員や異動者向けの膨大な業務資料(マニュアル、手順書、過去プロジェクト資料など)をNotebookLMに入力。2人の話者が対話形式で、その資料の背景や、新入社員が理解すべきポイント、期待される行動まで踏み込んだ「聴く研修コンテンツ」を生成。
効果:
活字を読む負担を軽減し、音声による理解促進。ポジティブなトーンで歓迎ムードを演出し、早期の組織適応を促す。
2. プロジェクトの知識共有と進捗報告の効率化
応用:
各プロジェクトの進捗報告書、課題リスト、議事録などをNotebookLMに入力。週次・月次のプロジェクト共有ポッドキャストを自動生成。資料の数字や事実だけでなく、「なぜこの判断に至ったか」「次に何に注力すべきか」といった本質的なメッセージを盛り込む。
効果:
関係者が忙しい合間にも「聴く」ことで最新情報をキャッチアップ。ポジティブなフィードバックにより、課題への前向きな姿勢を促し、チームの連帯感を強化。
3.提案書・企画書の背景理解促進とフィードバック
応用:
作成中の提案書や企画書をNotebookLMに入力。模擬的なプレゼンテーションや質疑応答形式のポッドキャストを生成し、資料の意図が正しく伝わるか、どんな質問が来そうかを確認。
効果:
客観的な視点でのリハーサルが可能になり、プレゼン能力向上。ポジティブな表現で「より良くするためのヒント」を提供し、建設的な改善を促す。
4.社内広報・インナーコミュニケーションの活性化
応用:
経営層からのメッセージ、部門戦略、社内イベント報告などをNotebookLMに入力。魅力的でポジティブなポッドキャストとして配信。
効果:
硬い文章になりがちな社内情報を、耳で聴くことで、親しみやすく、理解しやすいコンテンツに変換。組織の一体感を醸成し、エンゲージメントを高める。
5.営業資料のローカライズ・パーソナライズ
応用:
汎用的な営業資料をNotebookLMに入力し、特定の顧客や業界の文脈に合わせた「話者による解説ポッドキャスト」を生成。
効果:
営業担当者が顧客に説明する際のストーリー構築を支援。ポジティブなトーンで製品・サービスの魅力を最大限に引き出し、成約率向上に貢献。
資料作成における「もっと本質的な意味合い」
NotebookLMの機能は、資料作成者に対して、以下のような本質的な問いかけと示唆を与えます。
1.単なる情報羅列からの脱却
「このスライドに書いたことの裏には、どんな思いがあるのか?」「なぜこのデータが重要なのか?」という、表面的な情報だけでなく、その 「意味」や「意図」 をより深く考えるようになる。
2.受け手への意識の強化
「この資料を読んだ人が、どう感じ、どう行動してほしいのか?」という、読み手・聞き手の視点に立ったメッセージングの重要性を再認識させられる。NotebookLMがポジティブに解釈してくれることで、「どうすればポジティブに受け取ってもらえるか」を逆算して考える機会が増える。
3.ストーリーテリングの重要性
情報を単体で示すのではなく、なぜ今この情報が必要なのか、それによって何が解決されるのか、というストーリー(文脈)を語ることの重要性を、NotebookLMのポッドキャスト生成を通して学ぶことができる。
ポジティブフィードバックを受けることによる効果
NotebookLMが生成する音声がポジティブなトーンであることは、単に「気持ちが良い」だけでなく、以下のような心理的・組織的効果をもたらします。
1.心理的安全性の向上
資料の内容が、ネガティブな側面も含め、常に前向きに解釈・提示されることで、資料作成者や発表者は「自分のアウトプットは肯定的に受け止められる」という安心感を得られる。
これにより、恐れずに新しいアイデアを提案したり、課題をオープンに共有したりしやすい環境が生まれる。
2.自己効力感の向上とモチベーション維持
自分の作った資料が、客観的かつポジティブな視点から「素晴らしい」形で再構築される体験は、作成者の自己効力感を高める。
「もっと良いものを作ろう」「もっと伝えたいことを明確にしよう」という内発的なモチベーションにつながり、継続的な改善意欲を刺激する。
3.組織内の協力関係の強化
生成されたポジティブなポッドキャストは、資料の主題に関する前向きな議論や共感を促す。
部門間の連携やプロジェクト推進において、根底にある「課題を解決し、より良くしていく」という共通のポジティブな認識を強化し、協力関係を築きやすくする。
4.学習効果の最大化
ネガティブなフィードバックは時に萎縮を招くが、ポジティブなフィードバックは学習意欲を維持し、成長を加速させる。
自身の資料がポジティブに解釈されることで、その内容がより深く記憶に残り、次への改善点も建設的に受け止められる。
NotebookLMは、まさに「対話型AIコーチ」のような役割を果たし、組織内の情報流通を質的に向上させ、結果として、より創造的で、前向きな組織文化の醸成に貢献する可能性を秘めていると思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。NotebookLMには音声概要以外にも多くの機能を有していますが、本記事では、音声概要の魅力を中心にまとめました。まずは体験が大事です。ぜひNotebookLMに資料をアップロードしていただき、そこで生成される音声について、仲間と語り合っていただければと思います。
本記事がみなさまの活動のヒントになれb幸いです。